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グローバルスタンダードとは何か(98/8/24) 円安と日本の金融機関の不良債権処理の遅れが日本だけでなくアジアの不況の原因だという事を疑う人はほとんどいないようだ。 アメリカからの要求は常に日本の金融機関を何とかしろというものだ。多額の返済不能な負債を背負う不動産会社などは、土地の値段が下がったのだからしょうがない、買った値段で売れればすぐに返しますと開き直る。しかし、実際開き直りと言い切れないほどの土地神話が日本にあったのは確かなことだ。株価はともかく、土地の値段が下がり、それが売れないという状況がこんなに長く続くのは未曽有のことなのは確かなのだ。 実際、アメリカだって、こんなバブル景気が崩壊し、株価が半分(そのくらいでも不思議でないくらいの高騰だという人は少なくない)になれば、多くの銀行が不良債権を抱えて倒産するはずだ。それを急いで解決しようとすれば、新たな投資は不可能になるし、取り付け騒ぎも起こるだろう。 日本がバブル景気にわいていた時に、アメリカは金融自由化を日本に求めただろうか?日本の景気のいい金融機関がアメリカの企業や銀行を買収するのをむしろ非難していたのではないか? 一方の国の景気が悪くてストックの状況が悪い時に金融の自由化は圧倒的に不利なことである。まして金融機関は国民の財布を預かるだけでなく、企業に融資を行い、企業活動のエネルギーの供給源といえるところである。 この資産デフレの状況でグローバルスタンダードを押し付けられて、自己資本率を高めるために貸し渋りを余儀なくされれば企業がたちいかなくなるのは当然の結末だ。 例えば低金利政策を何のために行っているのか今説明できる人はいないだろう。かつては低金利政策イコール金融緩和だった。金利を安くする事で、金を借りやすくして、その分投資や消費に向わせるというはずなのに、貸し渋りのために、それができない。結局、低金利政策のために利息生活を期待したお年寄りを不安にして、約600兆円もあるといわれる「老後の蓄え」を塩漬けにしている。さらに金利差のために高い金利の諸外国に日本の金が流れて、日本国内にさらに金が回らない状況になっている。 一つや二つの銀行がBISと付き合ってもらえなくていいから、優良な貸付先には金を貸すとでも宣言すればよいし、あるいはこんな資産デフレの状況では、グローバル・スタンダード化も、「今は無理だ。経済立て直しまで少しまってくれ」とどうして政治家が言えないのか?BISにつきあってもらえなくても、そんな数兆円の金をあてにしなくても、個人金融資産が1200兆円もあるという現実をどうして無視するのか? 税金もグローバルスタンダード化で、法人税や所得税は下がる。しかし、こういう金は儲かっている会社や富裕層に対してはメリットになるが(法人税は利益がでないことにはびた一文もかからないのだ)、儲かっていない不景気にあえぐ会社には何の得にもならない。外国企業が進出しやすくなるというが、海外からの直接投資が10倍になったところで、数兆円の単位の金しか流れてこない。景気をよくするのとはケタが違う。そして、法人税が下がるために経費の認定が厳しくなるだろう。結果的に企業は金を使わなくなる。それ以上に問題なのは財源の裏付けのない減税で国の借金はさらに増え、福祉が切り捨てられる。昔は福祉を切り捨てても、景気は悪くならなかった。貧乏な人が首をくくるか、飢え死にするだけだったからだ。一般市民には関係のないことだ。しかし、今の福祉は高齢者福祉が中心だ。福祉の切り捨ては国民の高齢社会への不安を増し、景気に直撃する。外国に合わせるための減税などナンセンスだ。 だいたい、円安にしても、これもパラドックスな円安だ。貿易が日本が黒字なのに円安なのに本来なら、円高にしてくれとアメリカが泣き付いてこないといけないのに、日本が協調介入を求めている。いくら日本が貿易黒字になっても、その金でアメリカ国債を買わされているからアメリカは痛くもかゆくもない。そして自由化の名目で、国の通貨までばくちの対象にする自国の金融業者をのさばらせている。これに対してアジアの他の国はみんな非難している。マレーシアのマハティールなどはソロスを国賊扱いしている。なのに日本は円安はすべて自分たちが悪いと信じ込んでいる。 アメリカが、そういう人を自由にしてアメリカ人が円安にしているのなら、なぜ日本も貿易の自由化をアメリカに要求しないのか?「そちらが決めた為替レートに従いますから自動車の輸入期性を撤廃してくれませんか」となぜ言えないのか?「あなたがたは協調介入の必要がないとおっしゃるのだから、円の値段は適切だと考えておられるのでしょう。では、日米の自動車の貿易に不公正はないはずです」となぜ言えないのか? 自国の為替ディーラーに設けさせて、景気のよさを謳歌したいのなら、自国の他の産業は犠牲になりますよとどうして思い知らせてやれないのか? ついでに言うと、日本政府は約2000億ドルのアメリカ国債を持っている。そのほとんどが一ドル百円もしない円高のときに買わされたものだ。これを売るだけで売却益が約10兆円出る。債券などというものは相手国の景気がよくない限り誰も買ってくれない。今こそ売り時なのに、アメリカに遠慮して売れないでいる。 日本の不景気を作り出してもへとも思わず日本たたきに走る国の市場に遠慮して売れる磁器に利益の出る債券も売れないのでは、景気がよくなるわけがない。これを売れば、10兆円という金融機関の建て直し資金ができるというのに。 よしんばこれを売る事で、アメリカの債券市場が暴落し、連鎖的に株も暴落すると、日本市場もさらに暴落すると恐れられているが、私はそうは思わない。 下がっている市場から利益が出なくなると別の市場から利益を出そうとするのが株のディーラーたちだ、ニューヨーク市場が低調になって初めて、東京市場に資金が流れるはずだ。実際東京がバブルにわいていたころはニューヨークは低調だった。お金は儲かるところに流れるし、儲かる場所をかならず作るものなのだ。 アメリカへの遠慮と隷属をやめるのが景気回復の第一の特効薬だと私は信じる。 (このエッセイに関しては、ビル・トッテンの「日本は日本のやり方でいけ」にかなり触発されたことを告白し、本書を推薦したい。 |
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