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お金の流れがまったく見えていないノータリン日銀総裁(98/9/10) かねてからこのエッセイで予想したように、アメリカバブルがはじけかけて、ニューヨーク市場の急落に伴って、円と東京の株価が急上昇した。 投資家の心理を考えると、ニューヨークがこれ以上上がらないのなら、東京にお金を流し込もうというのは当然の現象である。(残念ながら!)東京株の持ち直しを受けて、ニューヨークが持ち直したわけだが、予想通り、円と東京株は再び売られつつある。しかしニューヨークが持ち直したことを東京市場は好感して、しばらくは東京も株価が維持できそうな気配であった。 しかし、ここで日銀がとんでもないへまをやった。公定歩合はともかくとして、短期金利の利下げに踏み切ったのだ。投資家からすると、日米の金利差はさらに広がることになって、ドル買いのほうに走る。結果的に130円ほどに持ち直していた円相場が138円迄下がってしまった。これは何を意味するかというと、日本株をもっていた外国投資家からすると、2、3日の間に6%の損、日経平均ベースでいくと800円以上の急落を意味する。当然、東京株は危険ということで、さらに外国の投資家は東京市場を離れてニューヨークに向かうことだろう。 金利を下げれば景気がよくなるというのは、十分な消費があることと、実際にお金を借りられるという前提があっての話だ。お金を安く借りられたところで、作ったものが売れないのなら金を借りる気にならない。さらにお金がショートしている一般企業にしても、貸し渋りがひどいので、その恩恵にあずかれない。前述のように金利を下げると、日本売りが起こって、株価が下がり、銀行の保有資産が目減りするので、さらにお金を貸せなくなる。つまり金融緩和のつもりが、よけいに銀行の貸し渋りを呼ぶということになるのだ。 アメリカ株の急落の際に、アメリカも利下げに踏み切るだろうという読みがあった。すると前述のように、アメリカ株ではこれ以上儲からないと投資家が踏んで、日本に投資しようというマインドが高まる上に、日米の金利差が縮まるので、さらに日本に金が流れる算段であった。ところが、アメリカより先に日本が金利を下げた。おそらくは、アメリカが金利を下げるので日本も下げろという圧力があったのだろうが、あろうことか日本のほうが先に下げて、結局円と東京株が売られ、ニューヨークに再びお金が流れる構図に戻った。アメリカの利下げも多分先送りになるだろう。これまでの利下げが景気回復につながるという単純な図式しか思い浮かばず、かつアメリカの顔色ばかりみているノータリンが日銀の総裁になった結果がこのていたらくだ。 日米のチャートをこの数年見ていれば、ニューヨークが低迷すれば東京が高いし、東京がだめな時はニューヨークが高騰するという図式ははっきりしているはずだ。そして、先日のニューヨークの暴落はそれを証明した。 今日銀がやるべきことは、ニューヨークに揺さぶりをかけることだ。ロシアショックの後、東京ショックを起こすのだ。一日に1000億ドルくらいアメリカ国債を売り浴びせれば、ニューヨークは大暴落する。結果的に日本にお金が流れる。しかも1ドル国債を売れば、40円の利益が出る。瞬時に得た兆単位の利益で、税金を投入しなくても、金融機関が救える。さらにいくつかの銀行は国内専門銀行として、BIS基準に満たなくてもお金を貸せるようにしておき、そういい銀行にたいしてだけは債務保証を日銀がする。もちろん優良(会社の規模にかかわらない)企業にだけ金を貸すという審査をきちんとやる。今は優良企業なのに金が借りられず、低金利の恩恵をこうむるどころか、ノンバンクから高利の融資を受けている現実があるからだ。 アメリカは日本、そしてアジア各国に経済戦争をしかけている。アジア諸国の株価を下げて資産を目減りさせ、通貨の値段を自由に操っている。これに対抗できるのは、アメリカ国債を大量に保有する台湾と日本だけだということを忘れてはならない。 まだニューヨークは株価の天井にまつわる不安が強い。今度下がったときこそ、勝負をかけてニューヨーク市場をぶっつぶす覚悟がないと日本の景気回復はおぼつくまい。 |
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