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1999年年頭の抱負(99/1/5)

 本年は私もこれまでの積み重ねをさらにグレードアップして、どの分野でもさらなる飛躍を果たす所存です。
 まず心理学の分野では、いくつか外国向けの論文を書いたり、Bulletin of the Menninger ClinicのBook Reviewを行うなど、海外に向けての、日本流の自己心理学のアレンジについての提言を続けます。常に新しい精神医学の研鑚を続け、まずはベースになる勉強を怠らないことが自分の原点だと信じているからです。また、本年は日本の雑誌にも論文をいくつか投稿しようと思っています。さらに本年中に、懸案だったわが師ストロロウの翻訳(岡秀樹先生と共訳)、ミッチェルの翻訳(吉田剛先生と共訳)を完成させ、日本にもアップツーデイトの精神分析学を紹介します。
 心理学分野でのもう一つの方向性は、私の専門分野であり、もっとも日本に応用のしやすい精神分析学と考えている自己心理学を日本で啓蒙していくことです。2月に自己心理学を応用した日本人論を講談社から刊行するほかに、自己心理学の専門解説書、自己心理学を用いた子育て書などを次々と刊行する予定です。
 自己心理学を含めて、心理学、精神医学をわかりやすいもの、実用的なものにしていくのが私のメインテーマとなっています。本年前半のメインテーマは、経済に心理学を応用することです。2月に「こころが変われば景気がよくなる」を刊行するほか、電通での講演を機にマーケッティングの心理学についても積極的に発言していく予定です。
 最終的には実用的な心理学のベースとなる、カウンセリプンさせる予定です。ここでは、精神分析の他、高齢者や受験の相談ばかりでなく、マーケッティングやマネージメントなど多岐にわたるコンサルティングを行う予定です。日本でも心の問題にお金を払う時代が来るさきがけをきづきたいと思っています。

 次に高齢者問題ですが、ほうぼうで引き合いの多い、75歳現役社会論、生涯現役社会論をさらに推し進めていきたいと思っています。高齢者問題の最大の解決法は、高齢者が社会で活きることができるかにかかっていると私は信じています。私は老年医学の面からその啓蒙につとめていきたいと思っています。
 介護問題はもう一つの大きなテーマです。介護を支える家族の問題がクリアできなければ介護の問題は語れません。介護者のメンタルヘルスのための提言を続けるほか、どのようにしたら介護保険が有効に機能するか(特に介護の市場化について)の提言も続けていきたいと思っています。さらに実践活動としては、念願がかなって、川崎幸クリニックで、痴呆老人を預かりながら(ミニデイケアつき、送迎付きで)、介護家族の話を聴き合う家族会がついに3月から実現します。本当に家族会のようなものが必要な人というのは、痴呆の高齢者をおいて家を離れられないものです。初めて有機的な家族会ができると自負しております。
 もう一つは、高齢者のしあわせ探しです。まず幸せ高齢者のモデルを作るために、ぜいたく高齢者の勧めの活動を始めます。お金で幸せが買うだけというのもさびしいことかもしれませんが、お金で幸せが買えないというはもっと不幸だと私は考えます。リッチで幸せな高齢者のモデルライフを作ることは、景気のためにも、明るい高齢社会を作るためにも、若い間の勤労意欲を増すためにも、必ず社会に貢献すると信じています。

 最後に受験・教育問題です。緑鐵舎を通じて、受験勉強のイノベーションを進める活動はさらに進歩させたいと思っています。本年はKKロングセラーズから、参考書選びの有効なチャートブックを刊行誌、どんなレベルの子でも受験レベルに到達するお手伝いをしていくつもりです。また、本年4月頃には、認知心理学の鉄人(と別冊宝島でランクされていた)東大教育学部助教授市川伸一氏との電子対談「受験学力とは何か」を刊行し、科学的側面から受験勉強を見詰め直したいと思っています。
 もう一つの大きなテーマは相変わらずの「勉強をする意義」の啓蒙です。文部省の進めるカリキュラム削減には断固反対し、子どもたちや親たちに勉強の動機づけをどうすべきかの提言を心理学の立場から続けていきたいと思っています。数学教育の軽視や、勉強をしない子の放置しておけば、日本が製造業立国、技術立国という形で生き延びることが困難になります。最近のさまざまな調査では日本の子どもの校外勉強時間は、塾を入れても世界でも中位レベルに落ち込んでおり、また数学の能力に関しては、文系の大学生の半数以上が中学レベルの算数がクリアできないということが明らかになっています。今後は少子化に伴い、大学の志望者を定員が逆転する事態が待ち受けています。このような趨勢を世間にもっと知らしめ、勉強回帰の方向性が打ち出されるまで、私は戦い続ける所存です。

以上が今年の私の目標です。今後とも私の活動を応援をよろしくお願い致します。


和田秀樹
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