![]() |
![]() |
|
2000年 年頭の所感(2000/1/1) 昨年はずいぶん本を出した。 2月には講談社から『「ちょっと不幸な私」を変える上手な甘え方』というコフート理論を応用した日本人の生き方の本を、3月には朝日出版社から『「こころ」が変われば景気がよくなる』という心理経済学の提言書、4月には新評論から『新・受験技法「東大合格の極意」』の部分改訂版と河出書房新社から東大教育学部教授の市川伸一氏との電子メール対論本の『学力危機』を、5月にはKKロングセラーズから『受かる参考書はこれだ!』という参考書の使い方本、8月には雑誌論文集の『学力危機――「ゆとり教育が子どもをダメにする」』をPHPから、9月には講談社から京都大学経済研究所の西村和雄教授と慶応大学経済学部の戸瀬信之教授との共著で『算数軽視が学力を崩壊させる』とちくま新書から『わがまま老後のすすめ』という高齢者の生き方提言書とKKロングセラーズから『受験基礎力をつける本』という勉強のハウツーと参考書選びガイド本と河出書房新社から『親の自信が子供を救う』という親向け子育て理論書を、そして10月には講談社のメチエ選書から『自己愛の構造』というコフートの解説書を出した。つまり共著2冊部分改訂1冊を含めて、11冊の新刊書を出したことになる。そしてこのラインアップを見ていただければわかるように、高齢者問題から受験のハウツー本まで多岐にわたっていることがおわかりと思う。手前味噌ではあるが、どの本もそれぞれのジャンルで他にひけをとるものと思っていない。実際ベストセラーは出ていないが、そこそこ売れてはいるし、それなりの話題になった本も多い。今年は自己表現の年にしたいと思っていたし、言いたいことの言えた年でもあった。1000年代最後の朝まで生テレビに出演できたのも、それを端的に表すものかもしれない。 97年の秋に特別に考えもなしに(というかもう少し勉強をしないと思って)、浴風会病院を辞職して以来、医者は週に2回程度というフリーター稼業となったわけだが、仕事を断らないでいるとこんなにも忙しいものかと痛感する毎日だ。フリーになったらすぐに終わらせようと思っていた翻訳3冊もすべて未完のままだし、論文もそれほど量産できていない。 何を言いたいかというと、やはり勉強はしないといけないということを痛感していることだ。どうしてもフリーターになると、仕事がなくなる不安や生活の不安から何でも仕事を引き受けてしまうことになりがちだが、仮にまぐれでベストセラーが出たり、テレビを通じてちょっと名が売れて、まぐれで文化人になれても中身がなければ、有名なフリーターのおっさんか、東大を出ているだけがとりえの人間になってしまう。あるいはこれまでの知識だけが売り物の時代遅れの遺物になってしまうのだ。 実は、外国の精神分析の雑誌のbook reviewerにさせられて、まる1冊アップツーデイトな本を読まされたが、久しぶりにいい体験をしたと思った。勉強はやはり楽しいし、頭がよくなるのを痛感した。 私自身、学力の問題に最近取り組んでいるが、いちばん大切なのは、なぜ勉強が大切なのかを伝えることが子供にできるかということだろう。もちろん、子供の頃習ったこと自身の多くは大人になってから使えるものではないが、学ぶ態度やこれまで積み重ねてきた知識、あるいはその頃に身につけた思考パターンは大人になって役に立つものばかりだ。大人になってから自分が勉強しないで、子供に勉強しろとは、確かに虫がいいのかもしれない。 妻や子供の不興を買うかもしれないが、子供に迎合して遊んでやるより(いいわけがましいが暇なときは遊ぶつもりだが)、パパも勉強しているからお前も勉強しろと言えるようになりたいと思う今日この頃である。そういう点では、リストラの嵐の中、勉強していないと首がまっていたり、あるいは資格の必要性のため、大人も勉強しなければいけない時代の到来は、一億総勉強嫌いの時代のいいカンフル剤になることを期待している。 それにしても、いちばん勉強をしなければいけない学者、特に大学教授が定年まで身分が保証される制度は何とかならないかと思う今日この頃である。そして老人医療費がどんどん削られ、国民医療費がうなぎ上りになり、保険料も税金も国の借金もどんどん増える中、こうして身分の保証された医学部の教授たちが、たいていお酒を飲むとその日は勉強ができないことも嫌がらずに、今日も銀座や全国の高級クラブで製薬会社(もちろん彼らの売上の大部分は、医療保険からの収入である。そんな接待費があればなぜ薬価が下げられないのか不思議だし、そんな大接待の割に日本は国際的な新薬がろくにでず、ほとんどの製薬会社の海外売上比率は1割をきっており、かつ日本の薬の8割はアメリカでは認可されていないのであるが)の接待を受けている破廉恥さは、ノック知事(元知事)ほどは追求されないマスコミの姿勢は何とかならないのかと常日頃思うのである。 まあ、人のことを言っているより、勉強をしよう。 というわけで今年は私の勉強の年にしたい。時に仕事のお誘い、飲みのお誘いなどをお断りすることもあるかもしれないが、ぜひご容赦いただきたい。 ただし、介護保険問題や階層分化の問題、学力低下の問題への闘いは休むわけにいかないので、これについては勉強の暇をみて続けていくつもりなので、これは頑張りたい。 年頭所感のため、まとまりのないものとなったが、言いたいことを言わせてもらった。いずれにせよ、本年もよろしく応援お願い致します。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| (C) 2000-2006 Hideki Wada Institute,co All rights reserved. |