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大阪の銀行税導入に思う(2000/6/12)

 5月30日、大阪でも東京同様に、銀行の外形標準課税が施行されることが決まった。
 地方自治、自主財源に向けて新しい方向性が確立したとか、国に対して地方の側が明確な意思表示をしたという点で評価する声は高い。しかし、私はこれは東京とはまったく意味の違ったものだと考えている。
逆に大阪はやらへんぞという形での自己主張もあり得たのではないか、つまりそれが地方地方の独自性を打ち出すことになるのではないかという考え方もできるはずだ。
 実際、この課税は東京と比べてメリットが小さい。もともと東京と比べて、これによって課される税金が少ない上、東京と違って大阪府は地方交付税と受けているため、増収分の8割の交付税がカットされ、実質的には増収は74億円程度にとどまるという。
 しかし、大阪はやらへんぞという自己主張をすれば、それ以上の見返りが期待できたかもしれない。というのは、それによって、銀行に「こっちにおいで」ができたかもしれないからだ。
 ご存知の通り、現代はビッグバン、銀行再編の時代である。大阪に本店を置く日本有数の大銀行の住友銀行も三和銀行も合併によってなくなってしまう。住友はさくらと、三和は東海・あさひと合併するわけだ。問題はその大銀行がどこに本店を置くかである。現時点での業績であれば、住友はさくらを救済合併したとされるし、三和は東海やあさひよりはるかに業務内容がよいとされている。しかし、本店をどこにおくかは、各々の判断である。地盤沈下の著しい大阪より、ITも含めてさらに一極化の進んだ東京に本店を置こうという判断をしても不思議はない。
 しかし、ここで大阪がうちは銀行税を導入しません、銀行は歓迎ですという姿勢を示しておけば、これらの銀行が東京都への抗議の意味もこめて、それなら大阪に本店は置いておきましょうということにならないとは限らない。もちろん、この銀行税は、東京にしても東京に本店や支店のある資金量五兆円以上の銀行が対象なので、別に大阪に本店をおいたところで減免されるわけではないが、「勝手に税金を作るとおたくには本店はおきませんよ」という意思表示は可能になる。そのほうが負けるに決まっている訴訟を起こすよりはるかに相手をびびらせることができる。住友さくらや三和・東海・あさひグループに限らず、ほかの新銀行も抗議の意味で東京に本店を置かず、あえて埼玉新都心などに移すという抗議も可能だろう。逆に大阪を銀行の町にしてやろうという判断をあるかもしれない。別に商法上の本店などどこにおいても大きなデメリットはない。世界中の企業が一円でも税金の安いところに本店を置くのが常識になっているのだ。実際、アメリカの名だたる大企業でニューヨークに本社を置く企業は意外なほど少ない。新銀行もそういう判断をしないとは限らない。あるいは、大阪は銀行税を導入しない代わりに、本店を置いてくれますかと知事自らが交渉するという手もあるだろう。
 これは74億円よりははるかに大きなメリットが期待できる。というのは、地方法人税は本店の所在地で払うことになっているからだ。つまり銀行がきちんと利益を出し始めたとたんに1000億円単位の税収が期待できるのだ。
 東京が新しいことをやって喝采を浴びたからといって慌ててそのまねをする大阪は私の出身地でありながら本当に情けない。こんなことだから、いつまでたっても商都の復活は見こみ薄なのだろう。
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