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年頭所感(2001/1/15)

 昨年もずいぶん本を出した。
 3月にはブックマン社から、かつてのベストセラー『数学は暗記だ』の全面改訂版である『新版・数学は暗記だ!』を、4月にはPHP研究所から京都大学の西村 和雄教授と共著で『「勉強嫌い」に誰がしたのか』という教育問題についての対談集を出し、さらに4月の末には、久しぶりの大ベストセラー『大人のための勉強法』 をPHP新書から出した。さらに5月には新評論から『新・受験技法「東大合格の極 意」』の部分改訂版を、ちょっと飛んで10月には私の心理学の集大成とも言える 『痛快!心理学』を集英社インターナショナルから、女性セブンの連載の文庫化である『女性が元気になる心理学』をPHPから、日刊ゲンダイニュース部長の二木啓孝氏との対談集『殺人心理』をアスキーから出し、12月には、ビジネス社から『円満の心理学』と、これまでの論敵とも言える文部省の寺脇研氏との対談『どうする?学力低下』をPHPから出した。つまり共著3冊部分改訂1冊を含めて、9冊の 新刊書を出したことになる。その他、草思社の『息子を犯罪者にしない11の方法』 と小学館文庫の『激論!日本の選択』にも1章ずつ書いているので、昨年よりペースは落ちたがかなりの分量と自負している。そして、このラインアップを見てい ただければわかるように、心理学の応用や能力開発から受験のハウツー本まで多岐 にわたっていることがおわかりと思う。やっとベストセラーも出たことであるし、 2001年は飛躍の年にしたい。実際、5月くらいまでに対談本を含めると10冊 以上のオーダーが来ており、おそらく全部発刊することになるだろう。
 ただ、今年は書くだけで終わらせる年にするつもりはない。
 一つは、昨年休みがちだった高齢者問題の提言を大々的に展開する予定である。
 アメリカの大統領選挙で、ブッシュが勝つには勝ったが、自分の弟が州知事を努 めるフロリダを含めて、大苦戦をしたのは、一重に高齢者の票がゴアに流れたから だとされる。21世紀のキーワードが高齢者問題になるのは間違いない。
 日本は世界でも最も高齢化のスピードが速く、平均寿命も長く、その上高齢者が リッチという不思議な国である。ある意味では世界中の高齢者のモデルに日本はな り得るのだ。そういうわけで、誰かが高齢社会のオピニオンリーダーにならないと いけない。私はそれにあえて立候補したい。その手始めとして、1月10日付けの 朝日新聞の「論壇」と、中央公論の2月号、3月号で老人問題についての私見を展 開する。
 二つ目は、昨年末に、ついにヒデキ・ワダ・インスティテュートという個人事務 所の法人登記が完了した。ここを足場に、高齢問題を含む心理学を用いたコンサル ティング業務、インターネットやiモードへのコンテンツ配信、そして会社のエグゼクティブ対象の能力開発やカウンセリングなど、さまざまな実践活動を繰り広げ たい。
 三つ目は教育問題、学力低下問題に対して言論を強めるとともに、実践活動を強化していきたい。教育機関(学習塾を含む)からの講演依頼は条件が悪くても積極的に引き受けていくつもりだし、本年度からは私の勉強法の通信教育である緑鐵受 験指導ゼミナールにも塾頭として十年以上勤めてきた母の引退もあって、私が正式 に代表者となって現場にコミットしていきたい。教育実践なくして、理論だけで教 育を語るべきでないと私は信じているからだ。ブッシュがテキサスでヒスパニック の教育レベルを上げて大統領選で勝ったように、私も私のやり方で文部省の路線よ り、できない子どもの学力が上がることを何とかして証明したいのだ。
 そういうわけで、私は少しでも行動の人になりたいと思っている。そして、その ためには幅広い意見も求めたい。このメルマガやホームページが私と皆さんの交流の場になっていけばと願っている。  手前味噌ではあるが、どの本もそれぞれのジャンルで他にひけをとるものと思っ ていない。実際ベストセラーは出ていないが、そこそこ売れてはいるし、それなりの話題になった本も多い。今年は自己表現の年にしたいと思っていたし、言いたいことの言えた年でもあった。1000年代最後の朝まで生テレビに出演できたのも、 それを端的に表すものかもしれない。
 97年の秋に特別に考えもなしに(というかもう少し勉強をしないと思って)、 浴風会病院を辞職して以来、医者は週に2回程度というフリーター稼業となったわ けだが、仕事を断らないでいるとこんなにも忙しいものかと痛感する毎日だ。フリーになったらすぐに終わらせようと思っていた翻訳3冊もすべて未完のままだし、 論文もそれほど量産できていない。
 何を言いたいかというと、やはり勉強はしないといけないということを痛感していることだ。どうしてもフリーターになると、仕事がなくなる不安や生活の不安から何でも仕事を引き受けてしまうことになりがちだが、仮にまぐれでベストセラーが出たり、テレビを通じてちょっと名が売れて、まぐれで文化人になれても中身がなければ、有名なフリーターのおっさんか、東大を出ているだけがとりえの人間になってしまう。あるいはこれまでの知識だけが売り物の時代遅れの遺物になってし まうのだ。
 実は、外国の精神分析の雑誌のbook reviewerにさせられて、まる1冊アップツーデイトな本を読まされたが、久しぶりにいい体験をしたと思った。勉強はやはり楽 しいし、頭がよくなるのを痛感した。
 私自身、学力の問題に最近取り組んでいるが、いちばん大切なのは、なぜ勉強が大切なのかを伝えることが子供にできるかということだろう。もちろん、子供の頃習ったこと自身の多くは大人になってから使えるものではないが、学ぶ態度やこれまで積み重ねてきた知識、あるいはその頃に身につけた思考パターンは大人になって役に立つものばかりだ。大人になってから自分が勉強しないで、子供に勉強しろとは、確かに虫がいいのかもしれない。
 妻や子供の不興を買うかもしれないが、子供に迎合して遊んでやるより(いいわけ がましいが暇なときは遊ぶつもりだが)、パパも勉強しているからお前も勉強しろと言えるようになりたいと思う今日この頃である。そういう点では、リストラの嵐の中、勉強していないと首がまっていたり、あるいは資格の必要性のため、大人も勉強しなければいけない時代の到来は、一億総勉強嫌いの時代のいいカンフル剤になることを期待している。
 それにしても、いちばん勉強をしなければいけない学者、特に大学教授が定年ま で身分が保証される制度は何とかならないかと思う今日この頃である。そして老人医療費がどんどん削られ、国民医療費がうなぎ上りになり、保険料も税金も国の借 金もどんどん増える中、こうして身分の保証された医学部の教授たちが、たいてい お酒を飲むとその日は勉強ができないことも嫌がらずに、今日も銀座や全国の高級 クラブで製薬会社(もちろん彼らの売上の大部分は、医療保険からの収入である。 そんな接待費があればなぜ薬価が下げられないのか不思議だし、そんな大接待の割に日本は国際的な新薬がろくにでず、ほとんどの製薬会社の海外売上比率は1割を きっており、かつ日本の薬の8割はアメリカでは認可されていないのであるが)の 接待を受けている破廉恥さは、ノック知事(元知事)ほどは追求されないマスコミ の姿勢は何とかならないのかと常日頃思うのである。
 まあ、人のことを言っているより、勉強をしよう。
 というわけで今年は私の勉強の年にしたい。時に仕事のお誘い、飲みのお誘いな どをお断りすることもあるかもしれないが、ぜひご容赦いただきたい。
 ただし、介護保険問題や階層分化の問題、学力低下の問題への闘いは休むわけに いかないので、これについては勉強の暇をみて続けていくつもりなので、これは頑張りたい。
 年頭所感のため、まとまりのないものとなったが、言いたいことを言わせても らった。いずれにせよ、本年もよろしく応援お願い致します。

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